千代田区長選が終わった。メディアなどの予想通り(?)、都民ファーストの会が推薦する樋口高顕候補が勝利した。38歳、史上最年少区長の誕生で、前区長が高齢だったこともあり、フレッシュさがある。維新は五十嵐朝青さんを推薦、支援したが、自公推薦候補にも負け、三番手に甘んじた。結果は以下の通り。
9,534 樋口高顕(都民ファーストの会推薦、国民民主支持)
7,668 早尾恭一(自民、公明推薦)
5,598 五十嵐朝青(日本維新の会推薦)
435 宮田朋輝
私もお手伝いに行った。小池知事が同乗する選挙カーに何度かすれ違い、街中に知事のポスターが貼られてもいた。小池さんの選挙と見まがうばかりの光景が何とも印象的で、残念ながら、樋口さんの姿はついぞ見られなかった。つまり、直接、政策を聞くことは出来なかった。早尾さんは手堅い組織選挙に徹しているようで、これはこれで既視感があった。五十嵐さんは区長報酬50%カットを掲げていたが、どこまでその熱意が届くか、不安でもあった。
結局、4人がどういう千代田区にしたいのか、何が課題なのか私にはほとんどわからず、今回ほど具体的な政策よりも、“構図”が前面に出た選挙はなかったのではないかと思う。つまり、これから行われる都議選、衆院選の前哨戦という位置づけで、小池さんはどう立ち位置を決めたのか。要するに、一方でこれまで自民党との距離を詰めながら、他方で都民ファとどのような距離を取るか、ということに、多くの区民はどうか知らないが、「業界関係者」の興味はあったに違いない。
マンション購入疑惑で区民の批判を受けた前区長は、そもそも小池さん率いる都民ファが推した人物だったはずだが、結果を見ると、そこは問題にならなかったらしい。この前区長がどういう改革を行ってきたのかもわからないし、新区長は彼とどういう関係にあるのかも理解できなかった。前区長からプレゼントされた緑のネクタイを身に着けて運動をやっていたようなので、それは区政の基本スタンスは継承するという意味なのか。
維新推薦候補には、共産党が自主支援を決めていたので、私も支持者の方から「なぜ共産党と一緒にやるのか!」というお叱りを頂いた。選対に共産党がからむことはなかったはずだが、一般的には一緒にやっていると疑われたかもしれない。
そんなこんなで選挙期間は瞬く間に過ぎ去った。都民ファが勝利したことで、都議選でも同党の勢いはつくだろう。自公は菅政権の不人気と不祥事議員続出で厳しい立場にあるのかもしれない。しかし、どこでどう風向きが変わるかわからない。維新は東京に核を作らなければならない。そのためには、“構図”ありきでは限界がある。どういう東京を作りたいか、確固たるビジョンを掲げる必要を痛感した。