去る11月16日、新宿の京王プラザホテルで都民ファーストの会の政治資金パーティーが盛大に開かれた。各界から来賓が招待されていたが、壇上でひと際目を引いたのは、世田谷区の中村副区長だったという。港区長が遅れて参加したとのことだが、ほとんどの特別区長が出席しない中で、異例と言えよう。
中村副区長が挨拶の冒頭で、「保坂区長が公務で欠席のため、名代で出席した」と述べた通り、本来は保坂区長が招待されていた。その代わりとして、副区長を遣わしたということだが、これは問題ではないのか、というのが、私ひえしまの率直な感想だった。世田谷区議会第4回定例会の一般質問で取り上げた(動画はコチラ。24分26秒あたりから)。
ここで私が指摘したのは、保坂区長の政治家としての「政務」と区長としての「公務」の混同である。まず、確認しておくと、区長が特定の政党や団体からパーティーに招待され、出席することに法的な問題はない。同じく特別職に位置づけられている副区長も同様である。しかしながら、この「政務」の領域である政党の政治資金パーティーに、役人トップの副区長をわざわざ出席させるという感覚は、区長のある種の体質を如実に物語っている。
平成25年9月の決算特別委員会で、保坂区長は自身のパーティー券(1万5000円)を部長級職員に買わせようとしていたことが問題視された(なぜか役人だけ5000円に値引き)。「政務」と「公務」の立て分けができていないのだ。それに、上司が部下に買わせる行為は、パワハラとも言える。今回、私への答弁で副区長は、「自分の意思で都ファのパーティーに行った」というような答弁をしていたが、この点を意識してのことだろう。そもそも、この言葉を真に受ける区民はいない。つまり、区長に言われたから出席したと見ることが自然である。そもそも、疑惑が生じないよう、役人でなく、政務担当の秘書を派遣すればよいだけだ。
となれば、保坂区長は今回も立場を利用して、役人を「政務」に関わらせていたということであり、リベラルを標榜するわりには(リベラルだからか?)、権力の濫用に極めて鈍感な体質であることは、議会で度々指摘されても何ら変わっていないことから言って、筋金入りと言わざるを得ない。私が取り上げるまで、公用車の運用基準も極めて曖昧だった。
今定例会で、保坂区長は4選を目指して出馬することを表明した。そうであればなおのこと、92万区民のトップであることに驕らず、首長は決して王様ではないと自覚して区政に取り組んで頂きたい。私も引き続き、議員としてチェックしていく。