世田谷区議会は令和5年第1回定例会を終えた。約1ヵ月かけて予算特別委員会が開かれ、各会派が様々な質疑を行った。
議論を聴いて率直に抱いた感想は、保坂区政は何もできない、何もしない区政だったということだ。「何もできない」というのは、野党会派は当然としても、与党会派からも保坂区長の政策実行力に疑問符が付きっ放しだったことでもわかる。各会派とも政策提案をしてきたが、どれもこれもまともに実現しようとした形跡はなく、いたずらに時間が過ぎていったというのが、少なくともこの4年間の実感である。
では、「何もしなかった」というのは、正確には、「区民益を損ねることは積極的にやった」ということだ。区政の3年間はコロナ対策に追われた。保坂区長がぶち上げた無症状者にのべつ幕なし行ったPCR検査、いわゆる「世田谷モデル」は何ら成果を残さなかった。このことは、議会から厳しい批判が巻き起こった。しかし、そのことをまったく省みず、その後も無料検査キットを駅頭やら公園でバラ撒くなど、保坂区長の思いつきコロナ対策に9億円もの血税が浪費された。
区長が力を入れていたはずの保育分野もズタボロだった。待機児童は急速な少子化とコロナ禍で表面上は解消されたが、一方で「保育の質」を堂々と掲げていたのにも関わらず、区内のそこここの保育園で虐待事件が発生。昨年4月から12月までを見ても、実に12施設で23件発生していた。しかも、世田谷区は議会に一切報告しなかった。
区内のインフラはどうか。道路整備はまったくやっていないので論外。南北交通の利便性向上や、交通不便地域対策も実績なし。学校や公共施設などの改築も先延ばし。そのせいで、昨夏は学校のエアコン停止が相次いだ。では、社民党出身らしく福祉は何かやったのか。議会から有益な提言があったが、回答はいつも「検討中」。“検討使”は何も岸田総理だけではない。
かくして、保坂区政を評価しようにも、どう下駄をはかせても、及第点に遠く及ばないのである。世田谷区自らが発表した政策達成率は、たった4割。このままこんな区政をダラダラ続けさせることはできない。よって、私が所属する「無所属・世田谷行革110番・維新(F行革)」は、一般会計予算に反対した。
これ以上、何の展望も見いだせない保坂区政に、血税を使い続けさせる謂れはまったくない。区政チェンジ、世田谷チェンジの時である。