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学校の暴力事件を調査しない世田谷区の感覚

3人の教師が男子生徒へ、首を絞める、足を踏みつける、腕をひねり上げる暴力を振るっていた――。私が先週の世田谷区議会の代表質問で取り上げた事件である。


昨年10月、ある世田谷の区立中学校で事は起こった。暴力を受けた生徒を診た医者は、全治2週間という診断書を書いた。保護者は学校を訪ね、関係した3人の教師と面会。3人の教師は全員、暴力を振るったことを認めて謝罪したが、学校側はこのことを区に報告しておらず、保護者が「体罰を受けた」と教育委員会に訴えて出て、初めてわかった。

しかし、その後、教育委員会は何の調査もせず、半年以上も放置。当然、生徒へのケアや保護者への報告、再発防止の考えも何も示さず、あろうことか、事件の報告書すらまともに作成していなかった。私が問い質しても「わからない」の一点張り。教育長は「これから調査する」と言うが、私が議会で指摘しなかったら、このままウヤムヤにするつもりだったのに違いない。この感覚はまったく理解し難い。

そもそも、事件が起きた中学校は、校則がなく、定期テストも実施せず、子どもの自主性を重んじ、個性を伸ばすという理念のもと、独特な教育方法を実践する校長がメディアで大きく扱われるなど、非常に人気が高かった。学区外からの入学希望者も群を抜いて多かった。保坂区長もツイッターで「校則を全廃した〇〇中学校の学力は、世田谷区内でトップクラス。特に英語はダントツの成績だ」と絶賛。区長は折に触れて学校を紹介し、宣伝を買って出ていた。


しかし、ほかの区立中学校に比べ、生徒の行動にはかなり「寛容」だと思われてきた教育環境の中で、暴力による指導が行われていたのであれば、孕んでいる問題には大きなものがある。だいたい、黙食の対応などを見ても、教育長が「だれ1人置き去りにしない教育」と宣うのとは裏腹に、世田谷の子どもたちは「置き去りにされっ放し」である。

保坂区長は選挙中、4期目をめざす理由として「教育改革」を掲げていた。世田谷区がこの事件にどう向き合うか。引き続き、厳しく注視していく。