当選すると、すぐさま保坂区長が必ず実施する「車座集会」。今回も4期目を無事に迎えられたので、張り切って(?)開始された。多くの人には聞き慣れないだろうが、少なくとも世田谷区議会議員は聞き飽きている。
7月16日午前中は、代沢地区車座集会。22名の方が参加された。今回、印象的だったのは、子育て世代の方やお出かけ広場などの子育て支援の活動の方が加わったことだ。途中、音声の中断など機材トラブルにあったが、何とかチームプレーで乗り越えた。 pic.twitter.com/3A7pRoAQOb
— 保坂展人 (@hosakanobuto) July 16, 2023
この車座集会なるものは、簡単に言えば、区内28ヵ所で開催される、保坂区長が区民と直接対話するイベントのことである。区長は今回の選挙でもそうだったが、これまで、“熟議”というキーワードを繰り返し使ってきた。その具体化の一つという位置づけだと思われる。一見すると、素晴らしい試みのように思われるかもしれないが、事はそう単純ではない。いや、単純すぎるほど単純なのかもしれない。本当のところは。
世田谷区の行政制度は「三層構造」と呼ばれ、本庁のもと、各エリアごとに5つの総合支所があり、さらに28のまちづくりセンターが設置されている。「本庁ー総合支所ーまちづくりセンター」を緊密に連携させ、区民ニーズを迅速に汲み上げて政策実施へ移す、と言う謳い文句なのだが、実際はほとんど機能していない。なぜならば、先端に位置付けられる当のまちづくりセンターには、大した人員も予算も与えられておらず、多くの区民には存在そのものが知られていない。知っている人も「住民票が取れるんでしょ」くらいなもので、これとても、もはやコンビニで入手できるのだから、ますます誰も行かなくなった。
さらに5つの総合支所は、その立派な外観からは似つかわしくないほどに、何ら決裁権を有しておらず、相変わらずいちいち本庁に判断を仰いでやっているのだから、区民へのレスポンスは著しく遅い。つまり、この「三層構造」なるものも、保坂区政に特徴的な「看板倒れ」に終わっているのである。
午前10時からの等々力地区での車座集会には40名の参加がありました。小学4年生も参加し「児童館がたのしい」と発言してくれたり、学生世代、子育て世代、また地域の町会自治会と多様な参加者が集まり、20人あまりの人たちの発言がありました。午後は、成城地区の車座集会となります。 pic.twitter.com/BWHzhv2kFM
— 保坂展人 (@hosakanobuto) July 15, 2023
私はこの「三層構造」を強化するために、総合支所とまちづくりセンターに予算と権限を与えよ、と主張しきたのだが、保坂区長はまったく聞く耳を持たず、自らがまちづくりセンターに出張っていき、直接、区民の意見を集約すると言うのである。しかし、区長が毎日、どこかのまちづくりセンターに居て区民と対話するならともかく、当選直後だけ巡回するのだから、どう見ても「区長就任お披露目会」にしか見えない。それに、幸か不幸か、今回は保坂区長が新型コロナに感染したからオンラインになったが、今までは休日に、副区長以下、区役所幹部がぞろぞろお供していたのである。
挙句の果てには、区民から聴いたという声を何か形にしたのかと言えば、目ぼしいものは何もない。だいたい、車座集会の参加者だって、必死に役人が方々に呼び掛け、何とか体裁を整えているのだから、役所のムダな仕事をこれ以上増やすべきではない。保坂区長がやるべきは、この「三層構造」の強化を実行することであり、自分が意味もなくしゃしゃり出て行くことではないのだ。まちづくりセンターは「区長就任お披露目会」の会場に成り果てている。