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世田谷区の「マイナ保険証確認書」全員送付に疑問

ひえしまは、世田谷区議会本会議で代表質問に立ち、世田谷区が決めたマイナ保険証に関する資格確認書の一斉送付について質問しました。


国民健康保険に加入している方は、区から送付されている紙の保険証が、今年9月末に有効期限を迎えます。これを受けて世田谷区は、10月1日から使用できる資格確認書を、マイナ保険証の保有有無に関わらず、対象区民約16万人全員に郵送すると決定しました。

しかし、国は74歳以下の対象者への一律交付は認めておらず、厚労省から不審の声が上がっています。国はマイナ保険証の利用率が低い75歳以上の対象者に限っては、一律交付を認めておりそのほか、例外的に障害者などの「要配慮者」にのみ、マイナ保険証と資格確認書の「2枚持ち」を認めるというように配慮を示しています。また、そのためのシステム構築の予算は、国が持つとのことです。

世田谷区があえて74歳以下の対象者にも、資格確認書を一斉交付するということは、事実上、16万区民全員に「2枚持ち」を認めることになり、何枚もの紙による証明書を持ち歩く不便さから解放されるべく、それを願ってマイナ保険証に切り替えた区民の気持ちをないがしろにするものです。今回の区の判断は、マイナカードを一元化させて、将来的な利便性向上を目指す、一連の自治体のDX化の流れに逆行するものです。DX化に関しては、基礎自治体として様々な事務作業の増加や混乱が一時的にはあるにせよ、目先のトラブルに目を奪われ、大局的な見地に立つことを拒否するのであれば、いつまでも区民の時間を奪う「待たせる行政」「不便な自治体」は克服できません。木を見て森を見ない、いつもの区長の「国より先に、やりました」と言いたいがためのアピールであれば、即刻改めて頂きたいと考えます。

ひえしまの質問に対して、保坂区長は「誰もが例外なく保険診療を受けれられるよう配慮したいので、一斉送付を決めた」と答弁しました。その気持ちは理解しますが、DX化を進めることこそ、将来的に切れ目なく、区民が保険診療を受けられる体制を構築することにつながります。さらにマイナ保険証による効率化は、保険料負担を軽減することにもなり、出だしで挫けているからといって走ることをやめれば、これまでの努力は水泡に帰します。世田谷区が国に反乱を起こしている図はカッコイイかもしれませんが、最後に困るのは区民であることを強調しておきます。