保坂区長の「誰でもいつでも何度でも」を謳った、PCR検査拡大狂騒曲。議会を完全に無視し続け、メディアに連日登場し、心ゆくまでぶち上げていた区長だったが、さすがに区民から問い合わせが殺到し、ようやく「お知らせ」文書を出さざるを得なくなった(こちら)。
区長が暴走していたせいで、役所の職員も対応に大わらわだったろうが、私も嫌がらせの封筒を組織的に大量に送り付けられるなど(しかも、すべて送料着払い!)、大変な迷惑を被ったことは前回書いた(こちら)。読めば赤面するくらいの見当はずれのメールを送ってくる輩もわんさかいて、当然、くだらないので全部は読んでないが、悲しいかな区長礼賛派に共通するのはリテラシーの低さである。区長は印象操作によって、こういう哀れな人たちを弄んでいるともいえ、怒りが込み上げてくるのも、正直なところである。
私は自覚症状がある人や不安な人、医師が診断した人が速やかにPCR検査を受けられるようにすることが急務であることは、もう3月から議会で言ってきたし、世田谷区医師会も申し入れをしていた。しかし、それをのらりくらりと手を打ってこなかったのが、保坂区政なのである。ここに来て、突然、ニューヨーク並みの「誰でもいつでも何度でも」をぶち上げたものの、各方面からその実現可能性に疑問符をつけられており、冒頭掲げた役所発表の文書ですら、末尾は以下のように結ばれている。
「この間、区長からは、検査手法をはじめ、体制、財政面の検討事項や課題に対して、多くのメディアで発信しています。その具体化にあたって、国や東京都の協力は欠かせないものであり、それを前提に財源、医療機関等の支援をいただくことが必要となります。現在、区民のみなさまを始め、多くの方から、賛成のご意見、ご批判、また、ご提言をいただいております。詳細が定まった段階で、区民の皆さまに公表してまいります。」
そもそも、感染の有無を調べるのがPCR検査の狙いであって、社会的な感染状況を把握するために、感染確率の低い人も含めてランダムに検査するとなれば、大規模かつ同一人物への頻繁な検査が必要になる。それは可能なのか? 財源は? 偽陽性の問題は? 医療体制のひっ迫は? などなど、疑問はいくらでもあるが、区長はまともに回答していない。しかも、私が赤字にしたところにあるように、社民党出身の保坂区長の政治力で、国や都から協力を取り付けられるのか、甚だ心配である。区長はツイッターでよく政府の悪口言っているし(笑)。
わが会派の大庭正明議員が指摘しているが、最新のテレビを通じた宣伝では、言いっぷりを変えている。これは保坂区長の得意ワザである。
7月28日には「誰でもいつでも何度でも」と言っていたのが、8月7日には「いつでもどこでも何度でも」になっている。「誰でも」はどこへ行ったのか? 今度(いつになるか不明だが)議会に報告されるときには、さらにバージョンアップ(?)されていることだろう(笑)。
この壮大な構想は、児玉龍彦・東大先端研名誉教授によるものだそうだが、「あの児玉さんか!」である。この点も不安を抱かせる理由である。