孤立死・孤独死をゼロに!
「ミドル期シングル」対策として「親密圏」の創出を
ひえしまは本会議で、「ミドル期シングル」対策について取り上げました。ミドル期シングルとは、35~64歳までの単身者を指します。国立社会保障・人口問題研究所は、2020年の国勢調査に基づいて、2050年までの世帯数の将来推計の結果を都道府県別で公表しました。これによると、単身世帯の割合は27都道府県で4割を超えるとされていますが、東京都では現時点で50.2%とすでに半数を超えています。今後の医療・介護体制の維持などを考えると、単身世帯についてこれまで以上の研究と対策が、行政には求められます。
ひえしまの質問によって、世田谷区内でミドル期シングルに該当する人は、11万人ということがわかりました。こうした人たちの多くは、経済的にも健康的にも恵まれている傾向が強いことから、これまで行政サービスの対象としては軽視されてきました。しかし、50代あたりから個人差が顕著となり、福祉サービスに頼らざるを得ない人も徐々に増えていきますが、孤立している場合が多いことがわかっています。孤独死、孤立死を防ぐためにも、早い段階から地域コミュニティと関わりを持ってもらい、共助のネットワークを築く必要があります。
ミドル期シングル研究の第一人者である、放送大学の宮本みち子名誉教授は、行政による「親密圏」創出の重要性を訴えています。ミドル期シングルは趣味など興味のある分野については、活発に場を持ちます。たとえば、スポーツクラブやジムなどが挙げられます。行政サービスにおいては、世田谷区の場合は「生涯大学」が良い例でしょう。これまで約5500人の修了生がおり、その後も様々な交流を重ねています。しかし、受講資格が60歳以上となっているため、見直しを求めたところ、来年度から50歳以上へ10歳引き下げられることになりました。
また、子ども食堂なども交流の場としては候補に挙げられます。最近では、経済的に恵まれない子どもという対象から、友人や家族というように、各地で多世代へと利用が広がっています。しかし、答弁では多世代型の子ども食堂は、なんと世田谷区内に1か所しかないとのことでしたので、拡大を求めました。料理が趣味というようなミドル期シングルが、食堂の運営に関わるようになれば、地域での新しい交流も生まれることでしょう。
そのほか、図書館などは共通の話題を共有しやすいので、読書会はもとより、人気作家によるトークイベントなど、行政のさらなる積極的なアプローチを促しました。「結婚→出産→子育て」というライフスタイルではない人たちも、住みやすい世田谷区にしていきたいと思います。