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「男性特有の病」は軽視されている

私ひえしまは、議会で男性特有の病について質問した。

世田谷区はその代表格である、前立腺がん検診を実施してはいるが、これが極めてやる気のない内容なのだ。近年では上皇さまや演出家の宮本亜門氏が罹患したことでも、広く知られるようになった病である。

区の検診内容は以下の通り。

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対象:60歳以上の世田谷区民の男性の方で過去に世田谷区の前立腺がん検診を1度も受診していない方。

・世田谷区が行う検診を受けられるのは生涯に1度となります。
・対象年齢は、令和4年4月1日~令和5年3月31日の間に迎える年齢(令和5年3月31日時点での年齢)をさしています。

自己負担金 600円

(令和4年12月16日現在)

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太字に注目して頂きたい。「生涯に1度」という言い方にすべては凝縮されている。前立腺がんは、一般的に他のがんに比べると、進行が遅く死亡率も高くないとされているため、軽視されている。しかし、前立腺がんそのもので死に至ることはあまり多くないかもしれないが、知らぬ間に他臓器へ転移し、手遅れになったというケースは少なくない。罹患者数は年々増加し、2030年代には年平均1万5千人が死亡すると予測されている。この数は2010年代の実に1.5倍である。

それにも関わらず、私が議会で取り上げるまで世田谷区の認識はすこぶる甘かった。たとえば、お隣の大田区では、60歳、65歳、70歳の3回の検診を実施中。大阪市では50歳から70歳までの間に5回もの受診チャンスがある。秋田市のようにリーフレットを作成し、啓発に力を入れている自治体も少なくない。92万の人口を擁する自治体として、世田谷区の認識は甘い。

区の答弁では、啓発活動に力を入れていくことは約束されたが、受診回数を増やすところまでは至らなかった。もちろん、医師会の見解を尊重することは結構だが、任せっきりというのは問題である。前立腺がんのみならず、更年期障害など男性の病についても対応できる行政になるよう、引き続き提案してまいりたい。