先週金曜日(5月22日)に世田谷区から、「区立小中学校における段階的な教育活動再開について」という「お知らせ」が出された。これを見た保護者の方から、「いまから修学旅行の中止はおかしい」、「子どもが楽しみにしていたプールも中止なんて、どうにかならないか」といった声が私のもとへ寄せられた。事実、学校によっては、子供たちの願いをなんとか叶えようと、十分なコロナ対策を講じることで、中止ではなく、延期を模索している所もあった。しかし、区長と教育委員会の姿勢は、こういった現場の努力を全否定した。この不誠実な動きは、読売新聞でも報じられた(記事参照)。
保坂区長は教育ジャーナリストを自称している。事実、たくさんの著書もあるし、これまで教育について、山のように発言や発信をしてきた人である。ちなみに、どういう本かというと、『先生、その門を閉めないで』『困った先生(コマセン)白書』『学校だけが人生じゃない』というのがあり、タイトルだけ見ると学校の在り方に批判的なようである。ご自身が学校に不満があって、その種の運動をしてきたのだから当然ではあるが。世田谷区の教育長も長年、教職にあった人で、議会では「一人の子どもも置き去りにしない」ということを繰り返し主張してきた。
であるならば、自分たちが教育行政のトップにいるのだから、子どもたちをはじめ現場の声を尊重して、手助けするのが当たり前の振る舞い方だと思うが、その真逆を行っているのだから話にならない。区長にいたっては、自分が批判していた教師や学校の在り方を、自ら地で行っているような感すらある。批判ばかりの人生から批判される人生へ転換し、少しは当時の教師たちの苦労も分かっただろうか(まあ、分かってないだろう)。プールに関しては、文科省の通知にあるように、対策をとれば実施してよいことになっている(参照)。要はトップの努力と決断次第なのだ。
この非常時でいろいろと行政のメッキが剥がされているが、世田谷区はその最たるものだ。お馴染みの区長ツイッターを覗いてみると、相変わらずである。
すでに、コロナ危機に直撃された日本社会に残された時間はない。経済と生活の重大な危機に、国民生活を再建する根底的な政策転換が必要だ。「新しい生活スタイル」とは、消費と競争を無限に強いる社会から、人間の尊厳を取り戻し、互いに助け合い富を分け合う暮らしを取り戻す社会へと舵を切る時だ。
— 保坂展人 (@hosakanobuto) May 24, 2020
区長には『闘う区長』という著書もある。何のために誰と何を闘うのか。胸に手を当てて、このことをしっかり振り返ってもらいたい。