ブログ

世田谷区待機児童“ゼロ”のからくり

今週は委員会に出席し、また傍聴し、あるいは区民の要望や苦情を伝え、合間合間に調査をし、役所からのヒアリングを行うなど、盛りだくさんのメニュー。いつもより、メールの返信や電話の返答が遅れている方には、お詫びいたします。

現在の委員会はコロナ対策で3密を避けるため、議員の質疑、役所の答弁は「簡潔明瞭に」行うよう申し合わせがされている。平時とは異なり、小ぶりの委員会室から大会議室に場所を移し、マスクも着用しているため、肉声では聞こえづらいのでピンマイクを使っている。話すときだけONにするのだが、みんな慣れていないので、スイッチの入れ忘れや入れっ放しがしばしば起り、そのつど委員長が注意するというのがよく見られる光景だ。

しかし、議員は質疑するのが仕事なので、申し合わせ事項をすっかり忘れ、議論が白熱するというのもよく見られること。とくにコロナ関係の報告がよくあがる福祉保健委員会は、延々3時間もやっていた。議員は区民から託されている声を届けるのが仕事だから、その点、使命感に燃えている(はずである)ので、ここぞとばかりに質問を浴びせる。ただ、中にはトンチンカンなことを言う人もいる(笑)。

この福祉保健委員会で耳目を集めたものに、6年連続ワーストワンの世田谷区の待機児童数が、ゼロになったという報告があった。これは今日のニュースにもなった(リンクはこちら)。昨年は470人もの待機児童がいたのに、急に減ったのも変な話である。たしかに、定員を約800人増やしたことに一定の効果はあったろうが、これですべてを吸収したとは到底考えられない。実は、算定方法を変えたというのが、からくりなのである。これまでとは違って、今回は「育休中でもすぐに復職する意思がないケース」は待機児童に含めない、という国の基準を採用し、さらに、「自宅から30分未満(2㎞以内)に保育施設があるにも関わらず、(通勤路からは遠いなどの理由で)希望していないケース」も474人いるが含めない、とした。これらは「潜在的な待機児童」と呼ばれるが、数字からは除外されているのである。

要はカウントの仕方次第で数字はどうとにも変わるということだ。保坂区長はかつて、世田谷区の待機児童数ワーストワンについてインタビューされ、「世田谷区では、見栄えをよくする工夫は住民を惑わすだけと厳に戒め、実態に近い数字を出してきたことは、言っておきたい」と胸を張っていたが、なぜ算定方法を変えたのか?

私は当選以来、保育園を新設すること、受け入れ定員を増やすことのほかに、ベビーシッターの活用を訴えてきた。しかし、区は「安全上の問題」というのを理由にし、頑なに導入を拒否してきた。本当に待機児童を解消するためには、あらゆる手段を講じるしかないのだ。数字でごまかすのではなく、政策の実行で解決するよう、さらに要望していく。