世田谷区はこれまで、老朽化による本庁舎建て替え工事を進めてきた。予定では今年9月に1期棟が完成する予定だったが、突然、受注者の大成建設が計8ヵ月の工期延期を申し入れてきた。庁舎内には激震が走った。
東京 世田谷区の区役所建て替え 工程管理不備で最大8か月遅れ #nhk_news https://t.co/dBCdNU6Jxl
— NHKニュース (@nhk_news) May 31, 2023
私ひえしまは、本庁舎整備に関する特別委員会副委員長として、これまで工事の推移を見守って来た。実は、大成建設が完成日の延期を通知してきたのは、今回が初めてではない。昨年12月に、コロナ禍での人員不足などを理由として、「2ヵ月伸ばして欲しい」と言ってきたので、様々な状況を斟酌して議会も了承した。資材の価格高騰についても、区は真摯に対応してきた。
その時点では何の不備も報告されておらず、完成は7月から9月へと変更になったのだが、ここに来て今度はさらに半年延期というのは、驚きを通り越して唖然とするばかりである。しかも、大成建設から特段の理由は説明されない。ただ「弊社の落ち度であり、重く受け止めている」とするだけ。さすがに、世田谷区は納得せず、大成側へ原因や対策、これからの工程等を記した報告書を6月9日までに出すよう強く要求した。
世田谷区役所本庁舎の建て替え 工期先延ばし最大8カ月 区長「賠償も協議」:東京https://t.co/gr9B0qNRFj 一部の部署を都の施設で運営するため、全体の工期が延びれば、その期間の賃借料が増える可能性がある。保坂展人区長は「施工者の説明はにわかに信じがたい。直接、間接の影響に対しての損害
— 保坂展人 (@hosakanobuto) May 30, 2023
保坂区長も指摘するように、区は工期延長による影響を正確に把握しなければならない。損害賠償請求も当然あり得る。何しろ区民の血税が、無駄に使われることがあってはならない。立て続く大成建設の不祥事には、不審の眼が向けられている。
大成建設が札幌市中央区で施工している超高層ビルの鉄骨の精度不良問題に続き、外環道のコンクリートでも鉄筋不足。… pic.twitter.com/zfJKe9ddHi
— 石男くん@昨日よりも面白くの建設You tuber (@Stoneman_ISHIO) May 23, 2023
しかし、自ら認めるように大成建設に非はあるが、議会として、区にまったく問題がなかったのか、ということも調査しなければならない。そもそも、初めから「難工事」と言われていた世田谷区新庁舎の建設だったが、そうなったのは、保坂区長の「区民会館の保存」という“こだわり”のせいなのである。複雑でややこしい工事を招来したのは、前川建築への“区長の異常な愛情”にあることを忘れてはならない。
世田谷区議会は、6月下旬に特別委員会に大成建設の関係者を招致し、質疑を行う予定。区の判断ミスはなかったのかということも、議論しなければならない。