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世田谷区議会、火葬場に関する陳情2件を採択

世田谷区議会の区民生活常任委員会で、火葬場に関する2件の陳情審査が行われた。1つは、「都内他区に設置されている民営火葬場の火葬料金を届け出制として適正管理することを区に求めるとともに、区外既存の民営火葬場に関して同様な法整備を求める意見書を都や国に提出することを求める陳情」、もう1つは、「行政が運営主体となる新規火葬場建設を求める陳情」である。

まず、1つ目に関して。陳情者の資料によれば、23区には現在9か所の火葬場があり、都営と公営がそれぞれ1か所、民営が7か所ある。民営のうち6か所が東京博善株式会社によるもので、寡占状態が続いているという。こうした中で、理由のない火葬料金の値上げやラウンジの有料化などが行われており、葬儀社に区民から抗議の声や苦情が寄せられていることは、私も報道などで聞き及んでいた。たとえば、世田谷区が目黒区などと共同設置している臨海斎場が大人を64000円で火葬できるのに対し、東京博善の代々幡斎場は141870円である。公営の約2.2倍だ。そのほか、東京博善はグループ会社を通じて葬儀から火葬までのパッケージプランを提供するなど、営利丸出しのビジネスを展開し、やりたい放題しているということだった。

当然、これは看過できず、何らかの歯止めを加えなければ、区民の利益を損ねるとの思いは全委員が一致していたようで、委員会ではひえしまの会派(日本維新の会・無所属・世田谷行革110番)はもとより、自民、公明、立民などが陳情内容に賛意を示し、趣旨採択となった。

2つ目については、東京博善が新型コロナに感染した遺体の受け入れを拒んだ例が多々あったとのことで、たとえば大規模災害が発生した場合も、運営会社の都合で同様の事態が起こるのではないか、という不安を抱くのは自然だろう。本来、利潤追求一辺倒に相応しくない人の死を扱うことからも、衛生管理の上からも、公益性を守る地方公共団体が責任を持って火葬場を運営することが、最も適していると言える。これについては、ひえしまの会派と公明、共産などが趣旨採択、自民、立民、生活者ネットが継続との判断だったが、わが会派が異議を申し立て、結局、自民以外の会派で趣旨採択となった。

世田谷区内に火葬場を造るとすれば、候補地は限られ、条件をかろうじて満たす場所は砧公園以外にない。しかし、予算や近隣住民の理解はもとより、工事技術の課題などもある。とは言え、高齢社会のただ中であることも考えれば、近隣自治体とも協力して困難を克服しなければならないことは言うまでもない。今回の陳情審査を踏まえ、世田谷区議会で本格論議がスタートできるよう力を尽くしたい。