本日(28日)、保坂区長肝いりの“世田谷モデル”を含む補正予算が、本会議場で可決された。この天下の愚策に反対したのは我々の会派(無所属・世田谷行革110番・維新=F行革)の4人(大庭正明、田中優子、桃野芳文、ひえしま進)のみ。4億もの血税が投入されることが正式に決定した。
振り返れば、7月末から保坂区長が「誰でもいつでも何度でも」のキャッチフレーズで連日メディアに登場し、ニューヨーク州をモデルに、世田谷区でPCR検査を広く受けられるようにするとぶち上げたことから始まった。区民はもとより、議員も寝耳に水であったばかりか、その後約半月あまり、区長は財源や対象者などについて何ら明らかにすることなく、議会にはまったく報告や説明もせず、区政を混乱に陥れた。その中身も二転三転し、結局、92万区民が「誰でもいつでも何度でも」受けられるような代物ではなく、介護事業所や保育園などで働くエッセンシャルワーカー26000人のうち、回数や期間などは曖昧にしたまま、無症状者でしかも希望者に実施するというものに成り果てた。
区側は、クラスター化の抑止や感染拡大防止の有効手段を謳ったのだが、PCR検査を1回ばかり長い時間かけて、無症状者に軒並み実施することの効果について、科学的な見解を求めれば、陰性証明に使われる危険性を多くの専門家が指摘していたのである。こうした知見も無視し、何が何でも形にして見せるという、その根性はある意味見上げたものだが、そんなことを区民は望んでいない。下命された役人たちも大変な犠牲者である。これまでの苦労を思えば、胸が痛む。
我々の会派は、このいかがわしい“世田谷モデル”を理路整然と批判し、時には諭し、無意味であるとする根拠を突き付けてきた。しかし、区長はこのデタラメな思いつきをなんとか形にしようと悪あがきし、各会派の賛同を取り付けて、今日に至った。その間、我々は保健所や医師会を中心とする「従来型検査」の機能強化と拡充に4億円を充てる、予算の組み換え動議を提出したが、各会派の反対で否決された。
まったくもって怒りが収まらない。そもそも、区長をツアコンとする、景色も気分も悪いろくでもない観光に引っ張り回された挙句、大きく遠回りまでさせられ、到着した場所は見事に予想を裏切る(私たちはわかっていたが)不毛の地だったわけである。しかも、法外な旅費をふんだくられる、実に馬鹿げたツアーだった。世界遺産のハロン湾のような写真を見せられていたのに、まったくもって似ても似つかない、どこぞやの珍しくもない池に連れて行かれたようなものである。未だに保坂ツーリストはハロン湾に連れて行ってくれる、と信じている区民がいるのだから、区長は一連の流れを、意を尽くして釈明しなければならない。そしてこの詐欺的商法を謝罪すべきである。
我々の会派は第1ラウンドは敗北した。しかし、戦いは長い。計画では、“世田谷モデル”はすでに9月中旬からスタートしているはずだが、まだ実施されていない。出だしから躓いている。血税4億円は具体的にどう使われるのか。30日から決算特別委員会が始まる。今後も厳しく検証していく。