前回のブログでも指摘したように、区の公表によれば、“世田谷モデル”は対象としているエッセンシャルワーカー約23000人のうち、希望している人が7912人しかおらず、全体の約30%しかいないことが分かった(12月17日現在)。保坂区長や区の当初の見込みが見当外れであったことは明らかである。それにも関わらず、1月で終了としていたのに、区長ご執心のプール方式を使用する「スクリーニング検査」なるオプションがいきなり立ち上がり、“世田谷モデル”は3月いっぱいまで延長に。どう考えても、検査数を稼ぎたいだけだ。
私が一貫して批判し、反対してきた“世田谷モデル”だが、私たちの会派(無所属・世田谷行革110番・維新)の4人以外の全議員によって賛成され、実施に移されてしまったという現実がある以上、内心では、どうせならいくらかでも、コロナの感染拡大防止に寄与すればいいとも思っていた。しかし、無症状の陽性者を53人炙り出したからといって、そのうち重症者もいず、濃厚接触者もいないということから考えて、クラスター化抑止に役立っているなどとは、到底言えないだろう。やはり、4億円の血税投入の意義は極めて見出しづらい。
そこへ、今度は約15000人(介護事業所の約12900人、障害施設の約2500人。いずれも訪問・通所事業所で働く職員)を対象に、個々人で唾液を採取してもらい、プール方式で行う「スクリーニング検査」なるものを来年1月から実施するという。ここでまた都の補助を当てにし、8000万円の税金を使うつもりなのである。だいたい、“世田谷モデル”は3割しか希望者がおらず、本来業務の3か月に1回の「定期検査」は閑古鳥が鳴いており、実態は保健所のお手伝いをしている「随時検査」だけなのに、さらなる大量検査がなぜ必要なのか。プール方式は検査の精度が疑わしいことから、国は認可していない。これで陽性反応があった場合、再度、該当者はPCR検査を受けなければならない。
“世田谷モデル”は「誰でもいつでも何度でも」と謳った、漠然とした保坂区長のビジョンに合わせて、役人が苦心惨憺知恵を出し、現実対応できるよう何とか料理した切り貼りだらけの、垂迹はフランケンシュタインだが、本地は既に死んでいるゾンビという代物である。もはや、区民は何が何でもこのモデルとプール方式に執着し続ける区長に使われる「実験動物」に、成り下がっていると言っても過言ではない。今すぐ“世田谷モデル”を中止し、私が主張してきた保健所を中心とする「従来型検査」の機能拡充・強化に特化した、このモデルで言えば「随時検査」だけに絞り、真っ当な検査のみを続けるべきである。我々区民は、為政者の“モルモット”ではない。