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多頭飼育崩壊と孤独死の現場

先日、世田谷区内の動物愛護のNPO法人から7月5日に発覚した多頭飼育崩壊の現状をヒアリングした。新宿区にある一戸建てから孤独死した50代男性の遺体が運び出されたが、ゴミ屋敷の中にはなんと20頭以上のミイラ化した犬の遺骸が散乱していたという。堆積した糞の地層を掘り返してみれば、その数はさらに増えると思われる。鳴き声から生きている犬もいたと思われ、近隣住民の方からSOSの連絡を受けて急行したものの、家主不在で踏み込めない事態となったとのこと。

すったもんだの挙句、やっと家主の親族と連絡が取れ、許可を得て入室したものの、生存していたと思しき犬は見当たらなかったという。

そもそも、この家主は生活保護受給者だったので、役所としては多頭飼育崩壊している現状は把握していたはずであり、何とか手を打てなかったのか、と疑問が生じる。当日、新宿区の警察や議員も現場にいたが何もできず、役所の連中も「何もできません」の一点張り。法令上、たしかに何もできないのかもしれないが、何ができるかを考えることもしないので、親族の連絡先すら住民がどうにか探り当てるという始末だった。まったく知恵はないのか?

動物愛護法は改正されたし、都の条例もあるが、多頭飼育崩壊を防ぐ手立てとはなっていない。まだまだぜんぜん不備である。これはこれで、議員がもっと手を加えなければならない。精神疾患-生活保護-多頭飼育崩壊-孤独死は密接に連関している。しかし、役所の仕組みは縦割りなので、それぞれ別の部署が対応しており、情報共有が困難ということがある。個人情報保護の壁も立ちはだかっている。人口92万の世田谷区でいつ起きてもおかしくない。今回の事件をよく検証して、今後に役立てたい。