議会質問

口腔がん検診、
2つの歯科医師会でなぜ違う?
地域で異なる専門医と非専門医の問題を追及

口腔がんは、タレントの堀ちえみさんが公表して注目された舌がんをはじめ、歯肉がん、口蓋がんなど口の中にできるがんの総称です。国内では年間約6000人が罹患し、約3000人が死亡しているとされていますが、発症しても早期に治療すれば完治する可能性の高い病気としても知られています。近年、早期発見への取り組みが各自治体でも広がり始めています。

世田谷区ではすでに10年前から口腔がん検診を実施しており、対象年齢は61歳・66歳・71歳で、自己負担金は700円。世田谷、玉川の2つの歯科医師会が検診を行っています。直近の平成30年度の区内受診者数は1238人で年々増加傾向にあります。そこで、ひえしまが問題にしたのは、担当している2つの歯科医師会で検診の仕方が異なっていることです。

まず、世田谷歯科医師会では、松原にある口腔衛生センター1か所で決められた日時を予約し、検診を受けるというもので、検診に当たる歯科医師は口腔外科専門医です。一方、玉川歯科医師会は、会員歯科医師の76か所のクリニックであればどこでも受診可能であり、そのうち口腔外科専門医は1人しかいないのです。

口腔外科専門医の資格を取得するためには、歯科医師免許取得後、初期臨床研修を修了してから6年以上、学会認定の研修施設に所属し、口腔外科に関わる診療と学術的活動に従事して、一定以上の実績を有することが必要条件になります。ですから、そもそも発見が難しいと言われる口腔がんにおいて、たとえ、一般の歯科医師が口腔がんに関する研修をある程度受けていたとしても、両者の間には自ずと能力的な差があるのではないか、という不安が払拭できません。おそらく、希望者は現状、自分の住まいに近い歯科医師会で受診していると考えられ、行政サービスの一環として考えても、世田谷歯科医師会は専門医であり、玉川歯科医師会はそうではない、というのは問題であることを指摘しました。しかし、区はWHO(世界保健機関)の基準に照らしても問題ないとし、現状を維持すると答弁しました。

また、区から送られてくる検診案内を見ると、あたかも住んでいるエリアによって検診場所が指定されているかのように見えますが、実際は区民であればどちらの歯科医師会でも受診可能です。ひえしまは、その旨、案内状に明記するよう求め、区は改善を約束しました。

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